後で
「それはまた後で考えよう」と言うとき、スペイン語では
Lo veremos más adelante
と言うことがある。
スペイン語の adelante は副詞で「前へ」とか「前方に」という訳語が充てられるのだが、こうしたフレーズでは時間的に後のことを表しているのだ。
ケンブリッジ辞典によれば、
más adelante
en algún momento del futuro
(未来のある時点において)
と定義されている。
同様に en adelante というフレーズは
en adelante
a partir de este momento
(この瞬間以降に)
と、どちらも時間的に後のことを表現している。
興味深いのは、同じ意味合いでも、日本語では「後ろ」を意味する単語が使われているのに対して、スペイン語では「前」を意味する単語が使われていることだ。
しかし同時に、日本語には「先延ばし」とか「先のことはわからない」のような表現もある。「先延ばし」と「後回し」が、どちらも似たような状況を表しているのは面白い。
先ほどの例文は、英訳すると
We will see it later
となり、later という「後ろ」の単語が使われている。しかし look forward to はどうだろうか。forward は「前方に」の意味だ。
単語レベルでも考えてみよう。prospect(予想、見通し)の接頭辞 pro は「前」の意味だ。しかし postpone(延期する)の接頭辞 post は「後ろ」の意味だ。
どうやら、時系列の前後感覚は言語によって微妙に異なり、なおかつ指し示す状況によって「前」にも「後ろ」にもなるみたいだ。
Hasta luego!(また後で!)