お茶っこ
東北の方言では「お茶っこ」のように、名詞の後ろに「っこ」を付けて呼ぶことがある。「っこ」を付けると、どことなく柔らかい印象になる。
琉球語にも「グヮ」という接尾辞があり、東北方言の「っこ」に相当するような表現だ。甲子園の応援歌としても有名な「ハイサイおじさん」の歌詞にも登場する。
こういう表現を「指小辞」と言うらしい。デジタル大辞泉には、
ある語について、それよりもさらに小さい意、または、親愛の情を表す接尾語。英語の-letやドイツ語の-lein, -chenなどの類。
とあり、日本語のみならず他の言語にも、同様の言い回しがあるようだ。
例に漏れずスペイン語にも、指小辞が存在する。今日の授業で扱った文章に cochecito という単語が出てきた。これは coche (車) に指小辞 -ito を付けたものだ。他にも perro (犬) / perrito や limón (レモン) / limoncito といったように、幅広く用いられているらしい。
スティーブン・ピンカーは、言語は文化的な産物ではなく、人間の本能によって生み出されたものだと主張した。指小辞の根底にある「身の回りの生き物や物体に親しみを抱く」感覚が人類共通というだけかもしれないが、このような語が普遍的に存在するという事実は非常に興味深い。