100日後にスペインに行く人

スペイン語初心者の学習記録

Aldapan Gora

ビルバオに到着して2日目のこと、涼しくなってきた時間帯に街歩きをしていると、石造りの立派な建物の前で、何やら人だかりができているのに気づいた。近くに行って見てみると、若い男女数名が、ウクライナの国旗を背景にダンスを披露していた。日曜日の夕方ということもあり、沿道では多くの群衆が彼らのチャリティー・パフォーマンスに温かい声援を送っていた。

 

 

おもむろにスマホを取り出し、数秒間、彼らのダンスを録画した。その時に流れていた音楽のメロディーが、家に帰ってからも耳から離れない。「アコーディオンの音色と、ダンスの軽快なステップに合わせたかのような若干ハイテンポなメロディは、ウクライナの広大な草原のイメージにピッタリだな。これはウクライナの伝統音楽に違いない」なんて思いつつ、Siri に曲名を尋ねてみた。すると・・・

 

www.youtube.com

なんと、ここバスク地方の音楽だったのだ。

 

この曲の名前 Aldapan Gora は、バスク語で「丘の上」という意味で、歌詞はすべてバスク語で書かれている。バスク語と言われてもピンとこないと思うので、冒頭からサビまでの歌詞を書き出してみた。字面を見ると、スペイン語や英語とはまったくかけ離れた言語だと感じるはずだ。それもそのはず、バスク語は、他の言語との関係性が解明されていない「孤立言語」なのだ。

 

Mendian gora, burua galtzen dut maizHerriko kaletan sarritan galdu izan naizNork bereizi zituen kultura, lurra sua ta ura?Gizakion arteko lotura, ere ez al da natura?
 
Aldapan gora, pausorik pausoAldapan behera, auzorik auzoGaztainondo ta pagoEskultura arraroKaleak edo mendiak zerk galtzen gaitu gehiago?
 
興味がある方は、歌詞を見ながら曲を再生して、バスク語の語感を感じてみてほしい。
 

なお、この曲をリリースした Huntza というグループは、2014年にビルバオで結成されたフォークロックバンドだそうだ。ウィキペディアには日本語のページもある。てっきり何百年も前から継承されてきた伝統歌謡のリミックスなのかと思ったが、完全オリジナルな曲のようだ。それでもこの曲は「YouTubeで最も多く再生されたバスク語の音楽」になったみたいだから、きっとバスクの人々にとっても新鮮な音楽だったのだろう。伝統を活かした新しい音楽が生まれているって素敵だなと感じた。そしてそうしたコンテキストを重んじながら、別々の文化圏に由来する音楽と踊りをなんの不自然さもなく融合させ披露したウクライナの若者たちにも、改めて盛大な拍手を送りたい。

 

ja.wikipedia.org